Message from CEO

シンプレクス設立の経緯

写真:金子01

バブル前後に日本の金融機関では第1次のシステム投資ブームがありました。その後、90年代後半に第2次ブームとなり、1社で数十億円単位のシステム投資を行っていました。しかし、それだけお金を掛けていながら、債券やデリバティブのディーラーの方たちはあまり満足していないという声が多かった。何故かと言うと、日本の金融機関は海外のパッケージを日本のシステムインテグレーターによって日本向けに作り変えたシステムを導入していたからです。

私は当時所属していた金融機関でディーリング・リスク管理のシステム統括を任されていたのですが、当時この金融機関はデリバティブのディーリングについては金融工学面でも実装面でも世界の最先端にいました。そんなにお金を掛けなくても、もっと良いシステムが作れるのにと思い、コンサルティング・ファーム時代の優秀な仲間を呼び寄せ、日本の金融機関が投資したものよりも少ないコストで、ユーザーが満足するシステムを自分達の手で独自に構築することを実現するために、独立を決意いたしました。

設立当初のシンプレクス

写真:金子

大別すれば当社はシステム会社というカテゴリーに入るのでしょうけれど、設立メンバー全員がコンサルティング・ファーム出身者なので、当然の事ながらコンサルティングもできる。業務面でも技術面でも先端領域で自己を磨いてきた集団という強みもありました。
ただ、私たちシンプレクスがアイデンティティとしている要素は別の部分にもあります。それは「原則として自らコーディングまで行う」という点です。
通常、ソフトウエア系の企業でキャリアパスを進もうとすれば、当初はプログラマーとして働き、やがてスペックを書けるSEとしてシステム構築に携わり、その後プロマネとなってベンダー・コントロールをはじめとする進捗管理等々を行うようになる……という形が定着しています。コンサルティング・ファームにしても、システム系のプロジェクトでキャリアパスを歩もうとすれば同様の道程。労働集約型ビジネスの枠にはまってしまっている。

ところが、外資系の先進的金融機関を経験した私たちは、上のポジションに就いても当たり前のようにコーディングも行うことの価値に皆気づいたのです。「昔はプログラミングもやったけれど、5年前に1年間だけ」という人が、「まだプログラミングしかできないからプログラムを組んでいる」という人たちを動かしてコードを書いたらどうなるか?例えばこれが1000行に及ぶ量になったとしましょう。これを「先端的プロジェクトをリードしつつ、最先進の技術や金融工学を熟知した上でコーディングもできる人」が自分で手がけたら、たった300行で済んでしまったりするんです。言ってみればノウハウ集約型の取り組み方です。これなら質の面でも、コストの面でも明らかに従来の労働集約型システム構築よりも上を行くことができる。
常識をブレークスルーすることで他にはない価値を提供できる「特別な会社」。シンプレクスはこれを目指すことからスタートしたわけです。

様々な経歴を持つ社員構成

社員の前職はさまざまです。私同様に外資系金融機関から来た者もいれば、都銀出身者もいる。コンサルティング・ファームから転職した人もいるし、ソフトウエア系企業からの人間もいます。外資企業、国内企業、金融系、システム系など、いろいろな会社のカルチャーが混在している状態です。

シンプレクスで求められる能力

写真:金子

意外だと思われる方が多いのですが、「今、何と何ができるか。今、何を知っているか」はあまり問いません。最大のポイントはポテンシャル。柔らかい頭で論理的な思考をすることができるかどうかを重視します。
ただし、例えば「C言語しか経験がない」という方が面接に来たとします。シンプレクスが手がけているプロジェクトのほとんどすべてはC++やJAVAを駆使したものですが、別に「C言語以外は未経験」でも全然かまわないんです。問題は、「じゃあC言語をどの程度知っているのか」です。ですから、こういう方が来た時にはC言語についての質問をしていきます。これにきちんと答えてくれて、しっかりとC言語を徹底理解できている人ならOK。
その意味では、実際人材としての理想は広く深くです。ですが、もしも1つでも深く理解できた人ならば、入社してから成長することは可能だと判断します。

また、「金融工学、金融業務、IT技術などあらゆる面で先端を行く」というブランディングを当社は一貫してマーケットに対して行ってきたわけですが、それをビジネスとして成立させる上では非常に多くの泥臭い努力も必要になります。
たしかに金融工学にせよ、システムにせよ、とことん突き詰めて先へ先へと進んでいくと、ある種アカデミックな領域へと入って行かざるを得ない場面は出てきます。ビジネスという現場ではまだ誰も適用させていないような理論や技術を使う場合もある。但し、忘れてならないのが、シンプレクスにとって「最先端」は手段だということです。目的はあくまでもクライアントが求めているシステムやサービスをより有効で確かなものに仕上げ、動かしていくこと。「最先端」は、他社のシステムよりも速く、確実に動かすための手段なんです。

業務的にもシステム的にもいろいろな意味で「カッコいいもの」を目指すとともに、顧客にコミットした納期やバジェットを絶対に守って作り上げるバランス感覚を持って仕事をすることが大切だと思います。
「先進」を追求する喜びを知っている「エキスパート」で、尚且つ、顧客第一のビジネスとして成立させることを目指す「ビジネスマン」に是非参加して欲しい。それが私の想いです。

シンプレクスDNA

仕事のほとんどが泥臭いものであるとはいえ、そこにはしっかりとしたシンプレクスDNAといえるようなものをもっています。「どこにも負けないカッコいいシステムを創ろう」というようなスピリットは全社員が共有しています。業務的にもシステム的にも一番カッコいいものを目指すのがシンプレクスのDNA。でも、納期やバジェットを絶対に守って創り上げ、しっかり保守して、死ぬ気になってまわす……というのも私たちがやらねばならないミッションです。本当に「カッコいい」のは双方が揃った時だということは理解してほしいと思います。もちろん2つが50:50のバランスである必要はありません。けれども片方にしか興味がない、という人ではシンプレクスではやっていけないと思うのです。

フラット&オープンな組織

写真:金子

スタッフの間には何一つ敷居がありません。入社年次、年齢、職位に関わらず、誰でも意見を述べ、お互いに納得がいくまで話し合いができる、この風通しの良さは当社の自慢の一つです。
経営陣の部屋はガラス張りで、社長室以外はドアもありません。私も経営陣の部屋で他の経営陣のメンバーと情報交換をしている事が比較的多いです。このガラス張りの部屋は誰でも自由に出入りできるので、新卒入社の社員や、入社1ヶ月以内の社員でも、業務上何か疑問を感じたり、ミーティングでは伝えられなかった自分の意見や思いがあるときなど、経営陣の席まで行き、直接意見を伝える事ができる環境となっています。
社内のセンターコートと呼んでいるエリアには、大き目のソファーが4〜5セットあります。プロジェクトのブリーフィング、ブレインストーミングや、ちょっとした打ち合わせをしたり、お昼のお弁当を食べたり、お茶を飲んで一息したりできる場所でもあります。

シンプレクスの第二の事業と今後

写真:金子

今、金融界ではディーリング、リスクマネジメント、インターネット関連事業など高度な専門性を持つエキスパート抜きには成立しない領域での競争が激化しています。しかし、こうした人材を金融機関自身が獲得・養成・維持しようとすれば多大な時間、エネルギー、コストを要してしまう。シンプレクスはそうした状況下、エキスパート集団として金融機関のパートナーとなることで真価をより一層発揮していけるものと信じています。'02年にJASDAQへ上場、'04年5月に東証二部へ上場、そして'05年9月に東証一部へ上場しましたが、さらなる飛躍を果たすため「特別な会社」としての価値を高めていきたいと思います。
'06年11月に発表した第二次中期経営計画(※)には、その具体的な道筋を記しています。これまでの金融フロンティア領域のシステム事業にならぶ第二の事業「ユニバーサル・マーケット・サービス(UMS)事業」を稼働。これは個人投資家向けに配信するトレーディング・ツールなどを始め、時価情報の配信サービスや分析データの配信、またはマーケットプレイス(私設取引所)の提供など、付加価値サービスに対し利用料を支払っていただく形態を採用します。システムのように作って販売するフロー型とは違うストック型のビジネスです。欧米ではシステムを単に作って買っていただくという発想から、サービスを買ってもらう方向へシフトしています。我々もUMS事業を皮切りに、金融フロンティア領域において次々と新しいビジネスへトライしていきたいと思います。ゆくゆくはこの国のテクノロジーから見た金融インフラレベルを左右できるような企業になりたい。そのためにもこの二つの事業を両輪として、2012年には売上150億円~200億円、経常利益率30%を目指していきます。
金融機関が自社のシステム子会社を作ったように、これからはコンサル企業が金融機関や取引所をつくる日がそう遠くない未来にやってくるでしょう。そのためにも、自分自身の手で世界最先端のシステムとソリューションを創り上げ、提供していきたいという熱意を持つ方に参加していただきたいと願っています。